2010年 05月 21日 ( 1 )

ドキュメント高校中退~いま、貧困がうまれる場所

a0038862_1728243.jpg
 数日前、貧困地域の公立中学に勤務する先生から紹介された本を、早速手に取ってみた。

 『ドキュメント高校中退~今、貧困がうまれる場所』(青砥恭/著 ちくま新書)。埼玉県と大阪の底辺校に入学した子ども達の事例に基づき、高校を中退していく子どもと貧困との関連を分析している。

 私は最近、大阪府内の公立学校で教員として働く方々と接する機会が多くなった。小学校や中学に通う子どもがいたっておかしくない年齢ではあるが、私には子どもはいない。だから、大学以前の教育課程でどのような問題が生じているのか、その実情には完全に疎かった。
 しかし、先生方の話を聞くにつけ、彼・彼女らがすさまじく疲弊していく現実がそこにあることを教えられた。

クラスの3分の1は不登校
母子家庭がクラスの3分の1
それぞれ父親が違う子どもを何人も抱え生活保護で生活している母親、
働かずに生活保護もパチンコに消える
働いてもアルバイト・パート・非正規労働
朝も夜も働き、子どもをかまう時間もない
そのうち体を壊して、働けなくなりますます貧困に陥る
ネグレクト
日常的に虐待を受けている子どもたち
「将来この子は確実にDVをするだろうなぁ。」と思われる男子生徒
中学になってもひらがなが書けない子ども
高校になっても九九が言えない子ども
窃盗、傷害
近親姦
若年妊娠→高校中退→シングルマザー→仕事も見つからず更なる貧困に

 この子たちの親もまた、同じような貧困状況の中で生まれ育った人が多い。貧困のスパイラルが続く。祖父母の世代から親に、親の世代から子どもに、その子どもからまた新しい世代に。

 大阪府の高校中退者数・率とも全国でトップとのこと。
底辺校と呼ばれる高校には、上に列挙したような現実の中で生きる子どもたちがクラスに何人もいるという。1人ならまだしも、これだけ大変な状況の子ども達がクラスに何人もいては、先生が1人1人に丁寧に関わることなんて不可能だ。勉強を教えるなんて、それ以前の問題だろう。先生だけが背負うのではなく、その学校に常駐するスクールソーシャルワーカーの採用を具体化していく必要があるんじゃないだろうか?それも、1人ではなく、数名。そうでなければ、過酷な状況を抱える子どもたちが集中している学校は、子どもたちも、先生も潰れてしまう。

 橋下知事は教育改革として「学力向上」を謳うが、そこに目標設定を置く以前の問題を抱えた子どもたちが大阪にはわんさかいる。この貧困状況を無視して、「学力向上」だけを謳い、現場の教員の尻を叩いても、教師は更に疲弊していくだけだ。

 もっと向き合わなきゃいけない現実が目の前に溢れている。
教師の疲れた嘆きを耳にする度に、大阪の街の中で、過酷な状況を生きる子ども達のことを考えては胸が締め付けられる。

by bigcamellia814 | 2010-05-21 17:28 | libro(本)