炎のジプシー・ブラス~地図にない村から

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  神戸映画サークル協議会が主催する市民映画劇場1月例会に行って来た。毎月1回、主に単館系映画を上映するので、会員ではないが興味がある作品が上映される時は観に出かける。

 今日観た映画は『炎のジプシー・ブラス ~地図にない村から』。東欧はルーマニア、地図にはなければ駅もない、人口400人の貧しいジプシーの村から生まれた、世界最速のジプシーブラス・「ファンファーレ・チォカリーア」のドキュメンタリー映画だ。

 流浪の民・ジプシーは、旅をしながら生活をするので持ち物は少ない。音楽を演奏する事は生活の糧でもあった。ジプシー音楽は本来ヴァイオリンやツェンバロ等の弦楽器によるものが中心だそうで、彼らの様にブラスによるジプシー音楽は稀だ。ルーマニアにおいては彼らが住んでいる地域に限られているそうだ。定住し、農業で生計を立てるようになった彼らの手は、節くれだって弦楽器を演奏するのは不向き。そこで、口とマウスピースがあれば演奏出来るブラスが選ばれ、彼らの音楽が受け継がれてきたという訳だ。もともと弦楽器を中心に育ってきたジプジー音楽のテンポは速い。それを彼らはブラスでやってのける。「世界最速!」と言われる所以は、彼らの音楽を一度聴けば納得!

 彼らの音楽に心酔したドイツ人マネージャーにより、彼らは400人の地図にない街を出て、世界各地をまわるツアーに出る。

a0038862_116302.jpg 印象的だったには、日本にツアーに来た彼らの様子。
渋谷のハチ公前で演奏を始めようとした彼らの前に、警察が出動し止めに入る。
「ウルサイから」
「人が集まって危険な状態を招くから」
「大道芸は道路交通法に違反するから」、日本人である私はなぜ警察が止めに入るか察しが付くが、音楽と共に生活があり、毎日村中にブラスの音が響き渡る様な町に住む彼らにとって、止めに入る警察の神妙な顔は不思議以外の何物でもなかっただろう。(結局は5分間だけ演奏の許可を貰えたのだが。)

 夜になれば真っ暗になる様な村から来た彼らにとって、一晩中ネオン渦巻く東京の街は、彼らを疲れさせた様子。映画を観ながら、「あの人達をあんな場所に連れて来てはイカン!」と思った私。

 そして、御多分に漏れず映っていたのが、渋谷にたむろするコギャル達の様子。殊更彼女達を映している様子から、外国人の映画監督にとって、コギャルの存在が非常に奇異だったのだろう。日本人の私にとっても奇異なのだから、外国人がカメラにまで収めたくなるのも致し方ないと言えばそうなのだが、「もっと違う日本や日本人を映してください。」と思ったのは私だけではないだろう。日本の、いや東京と限定した方がいいかもしれない。その象徴的なモノとして、彼女達が映る事に私は違和感があるなぁと感じたシーンだった。

 ともかく「世界最速」と言われる彼らの音楽は、陽気で力強い。そしてその音楽が生まれたバックグラウンドを知る事で、さらに味が出る。世界ツアーもこなす立派なミュージシャンでありながら、彼らはやはり人口400人の村で畑を耕す日常を手放さないだろう。

                             つばき

by bigcamellia814 | 2006-01-21 23:53 | cine(映画)

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