竹中 直人

 数日前、以前の職場の同僚が、出張で神戸に来ていると言うので、数年振りに再会した。社会人になって10年以上にもなるのに、未だにスーツ姿が初々しい彼をJR三宮の中央改札の前で発見。相変わらずの姿に、すっかり気持ちも和む。

 私達は入った居酒屋で3時間以上、喋って、喋って、喋りまくった。映画好きの彼は、映画の話になるととりわけ饒舌になる。私は、自分が見た映画に対し、彼のコメントを求めるのが好きだ。互いに持つ好き・嫌いのポイントが浮き彫りになるだけでなく、心が動かされるポイントや、その映画の新しい見方に出会う瞬間は、相手の感性を探求している様で面白い。

 彼が、今年最も最悪だった映画として名前をあげたのが矢口史靖監督の『SWING GIRLS』。最悪だった理由は色々。彼は、感情的になりながら最悪な理由を列挙した。その最悪な一例として、数学教師役で登場していた竹中直人のワンシーンについて語りながら、「竹中直人に、あぁいうキャラクターの芝居を求めるの、もうやめて欲しい!」と言った。あぁ、この人わかってる!竹中直人の奥深さを分かってる!黙って聞いていた私は、思わずその批判に参戦した。

 私は竹中直人が大好きだ。「好きな俳優は?」と聞かれて、私が一番に名前をあげるのが竹中直人。もう、10年以上も前から、それは変わらない。役所広司じゃなく、竹中直人見たさに、『Shall we ダンス?』も公開と同時に見に行った。私が「竹中直人、すごくカッコイイ!」と言うと、たいていの人の意思表示は同意ではなく首を傾げるだ。「オモシロイよね。」「いい役者だよね。」と言うコメントは返って来ても、「カッコイイ!」に同調してくれた人はいない。確かに小柄だし、所謂男前とは違う。

 しかし、芝居をしていない時の竹中直人の声を聞いた事があるだろうか?これが素晴しくセクシーなのだ。ワイドショーを見ていた時、ある芸能人の葬儀に参列していた竹中直人が、リポーターのインタビューに答えている、その声を聞いた瞬間から、私は竹中直人に魅せられた。なんて深い声をしているんだろう。

 そして、彼が着こなす洋服。ちょっと奇抜な色彩のスーツ、タイトなシングルのジャケット、裾が少し短めのスリムなパンツ、そこから覗く靴とのバランス。私は、この丈のパンツをうまく着こなしている男性を魅力的に思う。

 坊主とひげに確実に弱い私。小柄とは言えど、彼のルックスは私にとって充分理想的だ。映画等では変わり者の役が多く、濃いキャラクターを演じ、脇役ながらも確実に存在感のある役者であるが、演じている時以外は、物静かで控え目な感じも魅力的だ。それに、繊細な人物を演じさせた時、彼の役者としての魅力は一層際立つ。私は、そう思う。

 『Shall we ダンス?』や『ウォーターボーイズ』にしても、『ピンポン』や『SWING GIRLS』にしても、監督が彼に求めるキャラクターは似かよっている。どこか要領が悪くて、周囲の笑い者。大きなコトを言ってはみるが、気が弱い。どれも、よく似た様な役どころ。確かに彼の演技は面白い。竹中直人が登場した場面には笑いが集中する。脇役ながら、彼の存在は大きい。でも、そういうイメージが定着してる、そんな気がするのだけれど、どうかしら?「動」や「騒」のイメージではなく、「静」を感じる彼の演技を堪能したい。

 先日公開されていた、竹中直人監督の映画『サヨナラCOLOR』を見そびれてしまった。この映画、どんな竹中直人に出会えるだろうか。

 彼が、フッと恥ずかしそうに笑う表情が好きだ。

                         つばき
 

 

by bigcamellia814 | 2005-11-12 21:13 | my favorite

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