草抜きが趣味です!~夏の終わりの故郷へⅢ


a0038862_22444696.jpg 以前ある雑誌を立ち読みしていた時、女優の野際陽子さん(たぶんそうだったと思うが、間違っていたらスミマセン)の趣味が『草抜き』だと書かれており、いたく共感した覚えがある。

 そう、私の趣味も『草抜き』なのです!マンション暮らしの現在は、草が生える様な庭も畑もなく、この欲望を持て余している日々ですが、時々街から離れ、畑仕事をしている人々の姿を見ると、無性に血が騒いでくるのです。「あぁー!抜きたい!引っこ抜きたい!思いっきり、スカッと引っこ抜きたーーーい!」

 で、実家に帰省した際、その欲望を満たすべく母に相談。「ねぇ、草抜きしたいんだけど!」

 「待ってました、その言葉!庭や畑はいくらでもある!(田舎なので土地だけはクサル程ある。)いくらでもさせてあげるわよ!」と言わんばかりに喜ぶ母。私は早速、母のタンスから農作業用の服を拝借し、軍手に腕抜き、首にはタオル、麦藁帽子に長靴という、およそ日頃の私とはかけ離れたいでたちで、いざ!畑へ!

 夏の太陽を浴びて、勢いよく成長した雑草たち。一応そこは畑なのだが、野菜ではなく雑草を育ててるのではないか?と思ってしまう程の有様。雑草の成長に、農作業をする両親の体力が追いつかなくなったのかなと、父と母の老いを感じる瞬間。雑草の中からゴーヤがぽろり、スイカがぽろり、夏の食卓を飾った野菜たちがひょっこり現れる。

 私が好きなタイプの雑草は、背が高く、先っぽを持って引っ張るだけで、根っこを覆う土と共にたやすく根元まで引っこ抜ける、大きいくせに労力がほとんどかからない雑草。力がかからないにも関わらず、物が大きいので達成感が得られるというのが魅力だ。しかし、我が家の畑に繁殖していた雑草の多くは、背が低く、どっしりと根を張っている物ばかり。仕方がないので、引きちぎる様に片っ端から抜いていくが、それも容易ではない。握力が必要なこの作業、長時間続けると腕も痛くなり、かなりの重労働だが、雑草を引きちぎる時のあの音が、快感なのだ。

 田舎の人は、早朝涼しいうちに働いて、日が高く昇っている間は昼寝をし、又、日が傾いた夕方から畑に出て一仕事する。昼寝から目覚めた母が、「今度は庭の草抜きよろしくー!」と一言。前半戦でかなり体力を消耗した私は、内心「えぇー!」と不平を漏らしながらも(草抜きは趣味だが、長時間すると飽きるのは当然。)、「今度いつ、草抜き出来るかわからないではないか!」と我が身をふるい立たし、再び農作業スタイルに!

 造園を学んだ父が作った我が家の庭は、昔はそれなりの美しさを保っていたが、今ではその姿もなく、雑草だらけ。「そうそう、昔は、おばあちゃんが庭の草抜きしていたから、手入れが行き届いていたんだなー。」と数年前に他界した祖母を思う。こどもの頃、よく一緒に草抜きをしてたよな。
 
 草抜きをしていると、小さな虫たちとよく目が合う。小さな穴の中から、ひょっこりコオロギが顔を出す。私と目が合い、一瞬間があって、再び慌てて穴の中に隠れる。秋を間近にし、彼らの出番ももうすぐだ。

 草抜きを更に楽しくする方法は、誰かと話しながらする事。ひとりで草抜きをするのはなんとも孤独。誰かと一緒にすれば、井戸端で洗濯を囲みながら噂話に花を咲かせる、そんな雰囲気が生まれる。久々に、母と話をしながら草抜きに精を出した数時間。いい時間だったな。

                   つばき

by bigcamellia814 | 2005-09-14 18:39 | viaje(旅)

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