♪ISLA DE SALSAでラテン満喫Ⅳ~Alberto  Romayというダンサー

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 Alberto Romayというキューバ人ダンサーを初めて見たのは、今年の2月12日。三宮は下山手通にあるクラブ月世界での事。一度だけ体験レッスンを受けたサルサ教室が主催するサルサパーティに参加した時の事だった。1969年に誕生し、34年の歴史を誇るその場所は、まさに「キャバレー」と云う響きがよく似合う。中央に位置する半円のステージとダンスフロア、それを囲む様に広がるゆったりとした座席。フロアで踊る人達を眺めながら、お酒を傾けるのにちょうどいい2階席。そして、天井から釣り下がった巨大なシャンデリアとオレンジ色の空間。歴史あるその場所が、薄暗いオレンジの色彩によって、さらに時代を遡る。そんな場所で、Alberto Romayと言う、黒人のキューバ人ダンサーと初めて出会った。

 そこを訪れるまでAlberto Romay というダンサーの存在など全く知らなかった私。彼は作家・村上龍が監督した『KYOKO』という映画に出演していたとの事。クラシック・モダンダンスを学び、キューバ国立民族舞踊団に所属していた彼の立ち姿は実に美しい。黒い肌に映える赤いTシャツ、スラリと伸びた足とお尻の高さを強調するGパンの着こなし。本格的にダンスを学んで来た者の姿勢の美しさがそこにはあった。私は、姿勢の正しい男が大好きだ。

 彼の踊る姿を見た時、私の身体に突如として訪れた衝撃を、数ヶ月経った今でも鮮明に思い出し、思い出す度に、その感覚が、又私の体の中で動き出す。女性と男性、ペアになって踊るサルサというダンスは実にセクシーだ。男性のリードによって、まるで弄ばれているかの様に激しくしなやかな動きを見せる女性。人の身体が、ここまで予測のつかない動きを生み出していくものなのかという事を知る。そして、相手を吸い込む様に、捕らえて離さないかの様に見つめるAlbertoの視線。その視線は、目の前の女性を捕らえているものであるにも係わらず、私自身が捕らえられている様な感覚に陥る。そして、計算されたタイミングで、計算された場所に置かれる手。私の体に触れられて居る様な緊張感が生じる。「あぁ、今、恋に堕ちている・・・」その瞬間を私の感情と身体はリアルタイムに実感し、実況中継している。恋に堕ちる瞬間が、こんなに手に取る様にわかるなんて・・・それは久々に感じた感覚だった。彼のダンスを見終わった後、まるで官能的なセックスをした様な感覚に私は襲われた。満たされた脱力感。彼は私に指一本触れていない。私はただ彼の視線をダンスを追っていただけだ。

 Albertoはあるパンフレットの中で、「ダンスは、人間が初めて手にするコミュニケーションの方法だ。」という様な事を語っていた。これを読んだ時、キューバ人である彼と日本人である私の育ってきた文化の違いを強烈に感じた。この感覚は日本人にはない。そして、この感覚を持ち合わせているのが一番似合う国民は、やっぱりキューバ人かもしれない。それはもう、どう足掻こうが、私達が敵う事の出来ない領域だ。

 日本を離れ、パートナーと共にフランスに移住する事が決まっているAlberto。もう、彼に出会う機会はないだろうと思っていた矢先、偶然にも、ISLA DE SALSAで彼の姿を発見した。翌日に備え、会場の敷地内にあるバンガローに泊まる予定だった私は、受付を済ませようと並んでいた。その前方に一人の黒人男性。間違いなくAlberto。でも、やっぱり確信が持てない。なかなか話しかけるタイミングが見つからない。あぁ、向こうに言ってしまう・・・彼と話していた、ドレッドヘアの黒人男性に話しかけ、彼がAlberto Romayである事を確認し呼び止めてもらう。

 「2月に神戸であなたのダンスを見ました。私、すごく感動しました。あなたのダンス、本当に美しくて・・・」もっと気の利いた事を言いたかったと悔しがっても後の祭り。こんな時は、緊張でろくな英語は喋れない。しかし、そんな私の目をじっと見つめ耳を傾けてくれるAlberto。あぁ、この目だ。逸らさずに見つめるこの瞳。これに、恋に堕ちるのだ。「一緒に写真を撮って欲しい。」とお願いして撮ってもらった写真が上の写真。その後、ハグをして、両頬にキスをしてくれた。それはラテンの習慣に過ぎないけれど、私にとっては特別なものになる。遠巻きに見つめる事しか出来なかった憧れの相手と、一瞬でも見つめあい、至近距離で声を聞き、触れ合い、2人の間にあった空間が取り払われた瞬間があったという事実だけで、私は限りなく満足だ。

                    つばき

by bigcamellia814 | 2005-08-26 01:05 | TSUBAKIng Times

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