悩み・考える・・・

 「生命倫理」という授業で使用する映像教材に、字幕をつける作業をしていた時のこと。聴覚障害を持つ学生が、その内容を理解できるためにこの作業を行なう。

 今回の映像は「脳死」について。
数年前のNHKの特集番組だった。
それを見ながら考えたこと。

 番組の最後に、臓器提供意思表示カードの携帯を勧める日本のCMの一部が流れた。 べらんめぇ口調の江戸っ子風のおじさんが、
「まぁ、いいことだしやっちゃえーってことで。」と言う。
おいおい、臓器提供、勢いで決めて大丈夫かぁ?
臓器提供に関し、「提供することは『いいこと』」という概念が差し込まれたCMを流すのはいかがだろう?
「良い」「悪い」で割り切れない、様々な感情が交差するだろう問題なのに。

 そして続ける、
「若い頃にいいことしなかったし・・・」
おいおい、臓器提供は罪滅ぼしか?


 これはアメリカの話。
自分の亡くなった家族の臓器を提供した家族が、その臓器を移植された人に会いたいという。基本的に臓器移植を行なっている多くの国が、これを禁止している。
しかし、移植コーディネーター達は様々なリスクを考え、本人達がそのリスク(①移植した相手に深い人間関係を求めてしまう ②移植した相手に金品を要求する ③移植した相手を恨む・移植され生きていることに罪悪感を抱く等々)に同意した場合のみ会わせる事になった。

 死んだ息子の心臓を移植した60代の女性に会いに行くある母親。
死んだ息子は白人。移植された女性は黒人だった。
その2人に関しては特に問題が無かったが、
移植コーディネーターとしては、人種差別・セクシュアルマイノリティへの差別など、それらのことを考慮した上で、本人達の会うか会わないかという選択をサポートしなければいけないということも、とりわけアメリカの様な国ではあるだろうと考えた。
「なぜ、夫の心臓がゲイに!」というホモフォビアや、
「なぜ、娘の腎臓が黒人に!」というレイシストは残念だけどいるのだから。
自分がコーディネーターの立場ならどう考え、どう行動するだろう?

 こんな風に答えが出ないことを悩み、考えるためにこの授業はあるのだろうな。

                      つばき

by bigcamellia814 | 2009-06-06 08:08 | TSUBAKIng Times

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