ラムロイヤルと団鬼六

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 花火の後、そのまま真っ直ぐ帰宅する気になれなかった。
しばし、三宮の街をブラつく。
東門商店街では、韓国人のオバちゃんや、若い中国人の女の子達が道端に立ち、
通りすがりの男達に声をかける。
フィリピーナ3人が、陽気に客の見送りをしている。
見事な程にケバい化粧を施した白人熟女と寄り添う、紳士的な雰囲気の50代位の男性。
まるで異国の地に舞い込んだような雰囲気に、ひとり笑みがこぼれた。
アカラサマな情欲が、通りのあちこちにまるでコロコロと転がっているようだ。
ついでに大好きなキャバレー、『クラブ月世界』を入り口から覗く。
ココを覗くのが好きだ。いつか、ココで、私は何かをする、たぶん・・・
ずっと企んでいますから。

 お目当てのカフェは花火帰りのカップルで長蛇の列。
諦めて、いつものカフェに足を向けた。

 ここのカフェで注文するものは決まっている。
ラムロイヤル。ラムが効いて、少しだけ頭がクラッとする瞬間を楽しむ。

 今夜はラムロイヤルを飲みながら、堀江珠喜著『団鬼六論』を読みたかったのだ。
SM界の巨匠・団鬼六について、「関西文化」という切り口で論じている部分がオモシロイ。

 先日、東京で見た我武者羅應援團のパフォーマンスには、関西大学応援団出身のM君という男性が登場するのだが、彼だけ終始大阪弁なのだ。これが形の良い彼のスキンヘッドと相まって、実にイイのである。

 彼が他の団員を「まだまだだぁ~!!!!!!」としごく場面において、彼の大阪弁はなんとも言えない魅力を発揮する。なぜか異常にゾクゾクしている自分に驚く。その時、私の心の中に宿った言葉は「いやらしい、あぁ実にいやらしい。」だった。

 その「いやらしさ」と結びついたのが、鬼六ワールドだ。
しごく、いたぶる、陵辱する。
明確な形での表明があったかどうかは別として、強者と弱者がなんらかの了解の上でそれらの行為に及ぶ時(小説の中では、「イヤもイヤよも好きのうち」というフェミニズムなら一蹴する様な男の幻想も多分に含まれているが、それはひとまずファンタジーとして受け止めるとし。)、「大阪弁はその猥雑感を高める」効果がある。
この著書にて、鬼六ワールドにおける大阪弁の効力を論じている部分に、私は妙に納得する。猥雑さを施すのに、大阪弁ほど魅力的な言語は他にあるだろうか?

 団鬼六は、私の勤め先の大学のOBだが、あまりに話題にのぼらない状況に大学側の意図的なものを感じているのは、私だけではなかったようだ。その人は、「OBとして唯一『誇りに思う人物』だ。」と話してくれた。ちなみに私は、唯一知っていたOB・OGが団鬼六だった。(なんという偏り方か・・・)

 今では、テレビの中で平気で「私、Sなの。」「俺って、結構Mなんだよね。」と言った会話も耳にするが、現在の様に市民権を得るまでに至った過程において、団鬼六の貢献度は計り知れないものがあるだろう。そして、日本独特のSM文化を生み出したのも団鬼六に他ならないだろう。

 私達は密かに彼のステージを企んでいる。
母校では無理か?無理だろうなぁ。
ならば、クラブ月世界はどうだろう?
決して若くはない彼が命あるうちに、彼の偉業について話を聞いてみたいものだ。

 団鬼六。
名前がイイよなぁ。

by bigcamellia814 | 2008-08-03 01:11 | libro(本)

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