海の資源は共有すべきです。闘って得るものではありません。

 私が一緒に働いているおじさんは、
若い頃、革命を起こそうと返還前後の沖縄に移住した経験を持つ人だ。
まだ、沖縄に行くのにパスポートが必要だった頃の話。
結局、革命は起こせなかったみたいだけど。

 その彼が、尖閣諸島の問題について、これと同じようなことを語っていた。その地域に暮らす人々が話し合いによって決めるべきだと。そして、その地域に暮らす人々は、すでに長い間、そうやって暮らしてきたのだと。

 「未来の世代のためにも海の資源は共有すべきです。闘って得るものではありません」という言葉を、そこに暮らす人々の頭越しに領有権を争う政治家たちは、心して聞くべきだ。


海から考える尖閣問題

陳春声さん(台湾・蘇澳漁業者協会代表)、徐斯倹さん(台湾ピースタイム財団)、高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)、前田哲男さん(軍事ジャーナリスト)/ブロードウェイラウンジ

 日本、中国、台湾が領有権を主張し、3国のあいだで大きな問題とされている尖閣諸島。国家間の領土・外交問題として報道されることがほとんどですが、その地域に暮らす人々は、この土地や海域そしてこの問題そのものをどう見ているのか――台湾の漁業者や沖縄の視点から語っていただきました。

 「私たち漁民は数十年にわたって尖閣諸島近海で漁をしていました。その中で、沖縄の漁師との交流もたくさんあったんです。近くを通れば挨拶もしますし、漁業の技術やルールの意見交換もしていました。互いの船に事故や故障があった際は助け合う協定も結んでいました。しかし、石原慎太郎前東京都知事の"尖閣購入発言"で状況が一変しました」
陳さんの言葉から、報道では伝えられない実情が語られます。

 2012年9月、台湾の漁船70隻あまりが船団を組み、尖閣諸島近海で領有権を主張する行動を行ったとして大きく報道されました。この出来事についても陳さんはキッパリと言い切ります。

 「台湾の漁民が主張したのは領有権ではなく『生活圏』です」

 「石原前知事の発言以降、漁のできる場所が大きく制限されるようになりました。私たちの生活圏が縮まったのです」
「あの行動の際、多くの政治家に領有権を訴えたらいい、と勧められました。しかし私たちは断りました。海に国境はありませんから――」
この言葉に、報道内容との違いに驚いた参加者も多かったよう。

 「政府が前に出過ぎると、日本と台湾、中国、そして米国まで関係してきて話が複雑化します。本来、人と人との間でどうするか考えるべきことではないでしょうか?」
「人類が生存するための権利が保障されない限り、"主権"に意味はありません。未来の世代のためにも海の資源は共有すべきです。闘って得るものではありません」

 陳さんの言葉を受け、高里さんは「領土の問題になると当事者は除外されます。沖縄の八重山諸島も全く同じ状況です。報道機関からの取材でもこうしたことは話していますが、結局、領土問題として報じられてしまう」と言います。

 最後に、台湾で平和教育などに携わる「台湾ピースタイム財団」の徐さん。
「以前、石垣島の漁船と台湾の漁船の衝突事故がありました。この時、非のあった台湾側漁船はすぐに謝罪し、大きな問題にはなっていません。もともと民間の関係は良好なものだったのですから、こうした関係を続けていけたら、と思います」

 「遠い親戚よりも近くの他人――そんな気持ちで向き合っていきたい」徐さんのこんな言葉が印象的な講座となりました。

by bigcamellia814 | 2013-12-10 20:26 | TSUBAKIng Times

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