『労働情報』掲載 今、正規と非正規が手をつながずして、いつつなぐ!

 『労働情報』に掲載された私のエッセイをご紹介します。

 
今、正規と非正規が
手をつながずして、いつつなぐ!
 

 去る3月18日、徳島大学が2013年4月1日から、教員系を除く有期雇用職員について、雇用期限を撤廃し、約1000人を無期雇用に転換するというニュースが私の耳に届いた。徳島大学教職員労働組合は、正規・有期雇用両職員を対象にアンケートを実施。その結果をもとに、雇止めで人が代わるたびに正規職員の指導業務が増えるなど有期雇用のデメリットを示し、大学側との交渉を続けてきた。その結果、今回の画期的な勝利を導くに至った。これは、非正規労働の問題は正規労働者である自分たちの問題でもあると捉え、正規と非正規が共に闘い抜いたからこその成果に他ならない。

 この日、団交終え、徳島大学の勝利について考えながら帰っていた私は、急に感情が溢れ出し、家に辿り着く寸前のところで号泣してしまった。「希望をもらった」という喜びの気持ち以上に、有期雇用を理由に勤めていた大学を雇止め解雇になった私は、「羨ましい」「どうして私には一緒に闘ってくれる正規の仲間がいなかったの?」「何で、こんな当たり前の事が通じないの?」という怒りと悔しさで感情が止めどもなく溢れ出し、しばしその場から動けなくなった。

 4月1日から、改「正」労働契約法が施行された。この法改「正」の最も特徴的な点は、有期雇用契約の労働者が、5年を超えて反復更新された場合、本人の申し込みにより無期雇用へと転換することを使用者に義務付けた新18条である。これを恐れた大阪大学や早稲田大学、琉球大学などで、今まで上限がなかった非常勤講師に対しても、5年上限を設ける動きが出て来た。首都圏非常勤講師組合の運動により、琉球大学は撤回。早稲田大学は非常勤講師の上限5年を盛り込んだ就業規則の制定手続きの過程で、不正行為があった可能性があり、労基法違反の疑いで刑事告発することになった。雇止めの不安解消、安心して働き続けることを目的とした厚労省の思いとは逆に、5年以下の上限を設ける使用者、「法改正により、5年以上雇用できなくなった」と間違った法解釈を触れ回る使用者が続出する事態は、まさに予想した通りの展開だ。

 今回新たに、雇止め法理の明文化(新19条)、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(新20条)が加えられた点も重要だ。しかしこの法律、到底、労働者が個人で使いこなせる代物ではない。法律に実効性を持たせるには、早い段階で職場の仲間とともに労働組合に加入し、団体交渉を積み重ねることによって雇止め解雇の機会を阻止し、無期雇用を勝ち取っていくしか道はないだろう。改「正」労働契約法は、新たに有期雇用を拡大する危険性を秘めているが、逆に考えれば、今こそ労働組合の出番である。折しも安倍政権は、解雇規制の緩和、解雇の金銭解決などと言い始めた。ここを許せば、正規も簡単に首を切られ、総非正規化の時代が到来する。今、正規と非正規が手をつながずして、いつつなぐ!

 有期雇用は、期限が来れば全ての労働者が一人残らず雇止め解雇になるのではない。必ず、継続雇用される者と、雇止め解雇になる者を生み出す。全員が雇止め解雇になるなら、労働者も団結する。しかし、継続雇用されたいという思いから物言わぬ労働者になり、生き残りをかけ労働者同士は分断されていく。その構造に労働者自身が、身も心も取り込まれているうちは勝てるわけがない。私はこんな浅ましい構造に、これ以上自分の心を侵食されたくないんだ。1人では立ち向かえないから、仲間と手をつなぐ。手をつないで分断の構造と決別する勇気を持つ。きれい事だと言われてもいい。私はそう伝え続けたい。

労働情報862・3号 2013年5月1日発売)


大椿裕子(おおつばき ゆうこ)
大阪教育合同労働組合副執行委員長。大阪全労協青年部。関西学院大学雇止め解雇事件被解雇者。最近のオススメは、ロックバンド・怒髪天。JAPANESE R&E(リズム& 演歌)と称される彼らの歌は、まさに今の時代の労働歌。一度お試しあれ。


 私が一番言いたいことは、最後のパラグラフです。
浅ましさに心を売りたくない。

  
    つばき

by bigcamellia814 | 2013-05-09 11:00 | TSUBAKIng Times

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