金がないなら海にが行くさ 魚があれば生きられる

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 先日初めて、大阪の大正区を訪れた。
この町には、沖縄出身者が多く住む。
大正駅周辺に軒を連ねる沖縄料理屋では、沖縄音楽の生演奏を楽しめる。
どこかいいお店はないかと探し、以前、地下鉄のフリーペーパーで紹介されていたうすぱれ豊年ののれんをくぐった。

 客は、一足先にやって来て、すっかり飲んだくれている作業着姿のオジさん1人と、私たち3人の合計4人。たった4人のために、まだ若い、石垣島出身の歌手・大泊一樹さんが三線を弾きながら歌ってくれた。最初の歌は19の春。そして、葵のリクエストで歌ってくれたのが、BEGINの「オジー自慢のオリオンビール」。葵はマイクを渡され、大泊さんと一緒に熱唱。私はママから三板を渡され、演奏に参加。ママと作業着姿のおじさんと、スペインからやってきた私の友達は踊りだし、店はガラガラなのに大盛り上がり。

 休憩時間にはカラオケが始まり、「わしの仕事は土方や」と言う作業着姿のオジさんは、「釜ヶ崎人情」を歌いだす。酔っ払いすぎて、オヤジ、ろくにろれつも回っていないが、いい声だ。
 

立ちん坊人生 味なもの 通天閣さえ 立ちん坊さ
だれに遠慮が いるじゃなし じんわり待って 出直そう
ここは天国 ここは天国 釜ケ崎

身の上話に オチがつき ここまで落ちたと いうけれど
根性まる出し まる裸 義理も人情も ドヤもある
ここは天国 ここは天国 釜ケ崎

命があったら 死にはせぬ あくせくせんでも のんびりと
七分五厘で 生きられる 人はスラムと いうけれど
ここは天国 ここは天国 釜ケ崎


大正区で聞く、飲んだくれのオヤジが歌う「釜ヶ崎人情」。
ブラジルのイパネマ海岸沿いのBarで、
「イパネマの娘」を歌われた時と同じレベルで感動したわ、私。
『根性まる出し まる裸 義理も人情も ドヤもある』
『命があったら 死にはせぬ あくせくせんでも のんびりと
七分五厘で 生きられる 人はスラムと いうけれど』
ここの歌詞のスバラシさ。
身体を使って働き、暮らし、だらしなく飲んだくれている、ちょっとくたびれた男が、
夜の大阪、大正区で、「釜ヶ崎人情」を歌う姿は実にいい。

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 9時半を過ぎたあたりから、ようやくお客さんが増え始める。
阪神の応援帰りのご夫婦(もちろん、阪神ユニフォーム着用!)、父と息子、二次会で立ち寄ったと思われる会社帰りの若い男女のグループ。2曲目から踊りだし、こんな様子。

 そしてやっぱり、みんなが盛り上がるのがこの曲、「オジー自慢のオリオンビール」。改めて聞くと、いい歌詞なんだ。

どんな映画を見に行くよりも オジーと飲んで話したい
不景気続きでちゃーならん 内地で仕事を探そうかね

金がないなら海にが行くさ 魚があれば生きられる
なんくるないさ やってみれ 働くからこそ休まれる

三ツ星かざして高々と ビールに託したウチナーの
夢と飲むから美味しいさ オジー自慢のオリオンビール オジー自慢のオリオンビール


 頭の中に、普天間基地、辺野古移設に伴い、補償金20億円で政府と話をつけた名護漁協のことが浮かぶ。20億円って、安い。その地域の人たちが、一世代生きられるかどうかすらわからない金額。それよりも、綺麗な海があり、魚があれば、その次の世代も、その次の次の世代も生きていける。そんなことを考えていたから、『金がないなら海にが行くさ 魚があれば生きられる なんくるないさ やってみれ』の歌詞に涙が出そうになった。

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 お客さんたちは、オリオンビールに泡盛飲んで、大盛り上がり。
踊りだし、歌いだし、お囃子かけて、太鼓を叩き、
三板を鳴らして大笑いし、一気に仲良くなって、食べ物を分け合い、
「じゃぁねー、ママありがとう~」と店を後にする。

 久々に、めちゃめちゃ楽しかった。
こんなに楽しかったの、本当に久しぶり。
今度はみんなを案内するよ。

    つばき

by bigcamellia814 | 2013-05-09 01:00 | TSUBAKIng Times

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