メディアによるセクハラの垂れ流し、それがひとつ減った

 昨夜、吉本興業のタレント・島田紳助が引退を表明した。
会見前、ネット上では「大阪府知事選に出馬か?」という冗談めいた噂も流れ、「まさか、そこまで・・・」と思いながら、しかし、あながち悪い冗談だと思えないあたりが大阪の持つ怖さだなぁと考えていた。(横山ノックに橋下だし)結局、暴力団がらみの引退だそうだ。
 ただ、ホッとした。彼が、テレビの人じゃなくなるとわかって、私は正直ホッとした。

 その数時間前、久々にゆったりと本屋をブラついていた。
全フロアを一通り巡り、帰る方向に向かっている時、
タレント本のコーナーで、島田紳助の本が目の端に止まった。
そう言えば数日前、何かの話の流れから、
「島田紳助は名司会者と言われるけれど、女性の年齢をネタに笑いを取るところや、トランスジェンダーの人達をこき下ろして笑いを取ろうとするところは嫌いだ。そういう差別的な発言で笑いが取れると思っていること自体が安直だし、芸人として笑いに対する精進が足りないと思う」と友人に話したことを、その時ふっと思い出した。このことについて、いつかBlogかTwitterに書こう、書こうと思いながら先延ばしになっていたことも。

 そしてその数十分後、彼が引退すると知り、「あぁ、どうせならもっと早く、このことを書いておけば良かったぁー!今さら何か書いても、この事態に便乗して急にバッシング側に転じたみたいに受け止められそう」と思ったのだが、まぁいいや、書いておこう。

 彼の喋りは本当に上手いと思う。滑舌良く、とうとうと言葉が流れ出る様子には小気味よさがあり、毒気を吐きながらも、こちら側を感動させるような瞬間を作るのも上手い。

 でも私は、彼の喋りを聞いて気持ち悪くなることがよくあった。
「そこで私は笑えない」と思うことがよくあった。

 とりわけ、女性タレントの年齢やその人が未婚であることをネタに「賞味期限切れ」の女扱いし笑いを取るところは、まるで自分がバカにされているかのようだった。40近い未婚の女全てが「賞味期限切れ」の女として扱われるわけではなく、彼の基準によって、こっち側の女とあっち側の女に振り分けられ、明白にランキング化される。
 また、ゲイの男性を「キワモノ」として扱い気持ち悪がってみせるところや、トランスジェンダーのタレントを終始「ニセモノ」「ツクリモノ」として扱い、その人達の今の姿をそのまま受け止めることはなく、「結局は男だろ?」と生物学上の性に一方的に帰結させるのも、彼がよくやることだった。たまにそういう場面に出くわすと、本当に不愉快な気持ちになった。

 彼に「賞味期限切れ」の女や「キワモノ」扱いされることで人気が出たタレントも数多くいるが、そういうところにしか「笑い」はないのかなぁ?と考える。女性の年齢や未婚であることを笑いのネタにするって、もう相当使い古されていない?そこじゃない「笑い」の可能性は探求しないのだろうか?
 この手の「笑い」は彼に限らず、他のタレントだってよく使う手法だ。被差別部落出身者や在日コリアンを相手に差別的な言葉で笑いを取るのは御法度だろうが、女やLGBTの存在をネタに差別的な「笑い」を取るのは、この国ではまだまだ許されている。未だにこの手の「笑い」が通用し、公共のメディアで差別的な言葉や態度が垂れ流されても、とがめられることもなく「笑い」のネタになっていることが、私にはやっぱり不快なのだ。

 彼は、プライベートでは違うのかもしれない。
笑いものにしてる「賞味期限切れ」女からも、「キワモノ」タレントからも慕われているかもしれない。でも、それはテレビの前にいる私たちにはわからないし、わざわざ推し量って理解しなければいけないことでもない。私たちが見ることが出来るのは、テレビの中にいる彼なのだから。

 この手の「笑い」に鈍感になることと、
「ババア発言」や同性愛者等への差別的な発言を繰り返しながら、
4度も石原慎太郎を当選させてしまう状況には通じるものがあるように思う。

 私にとって彼の引退は、メディアによって広範囲にダダ漏れに垂れ流されていたセクハラが、ひとつ減ったということを意味している。

 だからほんの少しだけ、私はホッとしている。

 彼がテレビから消えても、この状況は続くだろうけれど、
ひとつ減ったと思ったら、ホッとする。

          つばき

by bigcamellia814 | 2011-08-24 17:30 | TSUBAKIng Times

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