将棋をさしながら

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 3月11日に大地震がおき、福島原発の状況が深刻化する中で、
主に関東に住む、1歳に満たない子どもを抱えた友人達が、
予測の付かない原発による子どもたちへの影響を恐れ我が家に避難してきていた。
多い時で最大11名。私たち2人を足して13名。
3LDKの我が家は布団で埋まり、まさに避難所の様な光景となった。

 「直ちに人体への影響はない」と政府が連呼する中で、
福島県もしくは今回被災した近県以外の人が、
原発を理由に避難することには色々と意見があるだろうと思う。

 けれども、不安な気持ちでそこに居続けるよりは、
ちょっと距離を置き、3月11日以降、空前の状況を捉えた大量の情報によって、
翻弄された感情や考えを整理するために避難をすることも、
健康や命を守るために必要だと考え、避難を希望する友人達を受け入れた。

 4月の始まりと共に、
1家族、2家族とこの場所を去っていった。
「本当は帰りたくない」「でも、仕方ないし・・・」
そんな感じで、この家から去り、元ある自分の家、職場へと帰っていった。

 8歳になるみっちゃんという男の子は、
母親と、生まれたばかりの妹と我が家に12日間滞在した。
友達の居ない場所で、サッカーをする相手もおらず、
つまらないかなぁと思ったら、
どんどん私の友達と仲良くなって、どうやら楽しい避難生活になったようだ。

 避難生活後半では、
近所の湊川公園で毎日将棋をさしているオジサン軍団と仲良くなり、
そこに足しげく通うようになった。
とりわけ仲良くなったオジサンには、
自分のおこずかいから缶コーヒーをプレゼントしてあげたんだって。

 東京に帰る直前、もう一度オジサンに会いに湊川公園に出向いたが、
お目当てのオジサンは今日はお休み。
不貞腐れ、怒りはじめるみっちゃんに、
別のオジサンが「坊や、おっちゃんとやるかぁ?」と手作りの将棋盤を差し出した。
次第に機嫌もよくなり、ベンチに座り、将棋盤を挟んで湊川オヤジとの最後の対戦が始まった。

 子どもは元来、こうやって、どこにでも自分の居場所を見つけていく力があるのだなぁと思いながら2人の対戦を見つめていた。こういう場所から、子ども達は大切なことを学んでいくのかもしれない。

by bigcamellia814 | 2011-04-09 18:18 | TSUBAKIng Times

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